こんにちは。理学療法士ランナーの大森です。このブログでは、ランナーの皆さんに役立つトレーニングやリハビリ情報を、私の実体験やトレーニングの近況を交えながらお伝えしていきます。今回は「ドリルをやると走りが楽」というテーマでお話しします。特に「太ももの振り戻し角度」「接地時間割合」「膝の折り畳み角度」に焦点を当てて、それぞれの要素に対応したドリルを紹介していきます。それでは、始めましょう!
「太ももの振り戻し角度」の重要性と改善ドリル
まず最初に「太ももの振り戻し」についてです。これは腿(もも)を着地の瞬間までにどれだけ引き戻せているかを角度で表したものです(画像上↑)。この動作がスムーズだと、走行中のエネルギー効率が向上します。「着地点を体の中心の真下に持ってくる」事ができれば、着地時のブレーキはほとんどかからず、非常に効率的に着地を行うことができます。必要以上に前に着地すればその分ブレーキが大きくなったり、接地時間が長くなってピッチを上げることができなかったりと、デメリットが多くなります。このため「太ももの振り戻し角度」は楽に早く走る上で非常に重要です。
ちなみに私の計測では、大迫傑選手が21°。エリウド・キプチョゲ選手は25°。ヤコブ・インゲブリクトセン選手で27°でした。振り戻し角度の詳細動画も近日公開しますね!
「太ももの振り戻し角度」改善につながるドリルはたくさんあるのですが、ここでは最近SNSでよく見かける2つのドリルに絞って説明します。
Aスキップ(動画リンク↓)
まずはドリル1つ目「Aスキップ」です。意識するポイントは「軸足で弾みながら押す」ことです。膝が高く挙げられた状態も理想ですが、それよりも「押す動き」に反応して、反対脚が勝手に振り出されるイメージが大切です。注意点は振り出された膝をまっすぐに方向づけすることです。 6〜10歩を1〜3set程度やると良いです
Bスキップ(動画リンク↓)
次に「Bスキップ」です。意識するポイントは振り出し脚を鞭のような動きにすることです。特に足首の引き付け(ピックアップ)に伴う膝の起動と、その後の素早い足のふり戻しに伴う真下接地。さらに真下接地の際「ポンっ」と弾むことも大切です。これも6〜10歩を1〜3set程度やると良いです
これらのドリルは、膝を高く上げて走ることも「結果として」大事ですが、一番は太ももの振り戻しを意識します。膝を高く上げることは「振り戻しの勢いの結果」生み出される動きと考えます。この意識によって次のステップへとスムーズに移行できます。
「接地時間」の重要性と改善ドリル
次に「接地時間」です。接地時間が短いほど、地面からの反発力を最大限に利用でき、走りが軽快になります。疲労感も軽減され、結果的に楽に走れるようになります。当店アフロランニング&ボディメイクでは「接地時間」の評価を「接地」から「踵が挙がる」までの時間がストライド中に占める割合で表しています(画像上↑)。割合が大きいと、着地時にワンテンポ遅れていたり沈んでいる、いわゆる「バネ感が無い」ように見えます。バネ感があるとされるレベルは20%以内で、先日動画で紹介させていただいたドルーリー珠絵里選手は17.8%でした。(動画のリンク先はこちら↓)
さて対応ドリルに関してですが、本質的には当店アフロランニング&ボディメイクで提案するような「機能評価」に基づく「筋力」が大切です。ここではそのプラスαになる「代表的なドリル」に絞って説明します。ドリルという表現は正しくないかもしれませんが「プライオメトリクス」にを中心としたものとなります。これらのエクササイズは地面に接地する時間を意識的に短くするのに最適です。リズミカルに足を地面に着く感覚を養うことで、次のステップへと素早く移行できます。プライオメトリクスに関してもまた動画を近日公開しますね。
リバウンドジャンプ(動画リンク↓)
縄跳びのジャンプに似ています。縄跳びがうまい飛び方の人を見ると膝があまりクシャんと潰れていませんよね。特に上手な人の「二重飛び」でよくわかると思います。このリバウンドジャンプも同様で膝をあまり曲げないで足首を固定しながら連続ジャンプを行います。マーカーやミニハードルを置くと意識づけしやすいですが、なければその場でジャンプしてもらって構いません。これも6〜10歩を1〜3set程度やると良いです。
ハードルタックジャンプ(動画リンク↓)
ハードルを3〜6足長に置いてジャンプするエクササイズです。これも足首を固定して膝が潰れないようなジャンプを意識します。さらにジャンプの際にタイミングよく腕を前に降り出すこともポイントです。ここで重要なことはリバウンドする動きが遅い、または膝があまりにも潰れるくらい動きが途切れてしまってはいけません。その場合無理せずハードルの高さを下げて実施しましょう。高さよりも動き重視です。これは3〜5set 程度やると良いです。
「膝の折り畳み角度」の重要性と改善ドリル
最後に「膝の折り畳み角度」です。適切な膝の折り畳み角度は、脚の運動をスムーズにし、エネルギーのロスを減少させます。この角度は蹴り出し後の「足の蹴り上げの高さ」を角度として測定します。数値が高いほど、下肢の筋肉を力まず効率的に使用出来ていて、その後の足の振り出しもより容易になると言えます。腸腰筋(ちょうようきん)を使えていれば「二重振り子」という物理の原理で膝から下はまるで「蹴り上げている」ように臀部に近づきます(二重振り子を本で説明した動画↓)
この辺りに対するより詳しい説明もYouTubeで投稿しましたのでリンクのせておきますね↓
とはいえ、大きすぎる折りたたみ角度は長距離、特にマラソンのような競技をやる場合には不適切な場合もあります。例えばゆっくりしたペースでも無駄に「地面を蹴る意識が強く、鉛直方向(前方接地から真下接地)の力が強すぎる」場合や、格好だけ真似て折り畳もうとした場合80°を超えることもあります。いずれも無駄なエネルギー消費につながるので意識して膝を曲げることは避けたいところです。ドリルで可動範囲を広げる時にだけ意識するのは良いですが、実際の走りの中ではあくまで膝の振り出しに伴う二重振り子を使って勝手に曲がることが大事です。今回は3つだけ代表的なドリルを紹介します。
片足のピックアップ(動画リンク↓)
引き上げを強調するドリルではありますが、同時に軸足で地面をグッと押す意識も大事です。そしてこのドリルの良いところは「左右どちらの足で押し出す方が苦手か?」がわかるため、苦手な方を克服する意識もつけられます。6〜10歩×左右1〜3setを目安に、苦手な方を重点的に実施することも良いと思います。
ホッピング(動画リンク↓)
ケンケンのような動きですが、最初に遊脚(ゆうきゃく・接地していない方の脚)の腿を前に降り出す意識を持ってほしいです。もちろんこのドリルでも接地で膝をグシャんと潰さないようにしましょう。これらをちゃんと意識できるようになってから 一歩で遠くに飛ぶ意識を持ちましょう。こちらも6〜10歩×左右1〜3setを目安に、苦手な方を重点的に実施することも良いと思います。
バウンディング(動画リンク↓)
バウンディングではつま先を下げないで、振り出しと蹴り出しのタイミングを合わせることを意識してほしいです。これにより膝がしっかりと折り畳まれることが実感できます。特に切り返しが大事なので、地面につく瞬間に手足の入れ替えも強調しましょう。意識ながら、力強く前に進む動作を行います。このドリルを通じて、適切な膝の角度を意識し、効率的な走りを体得することができます。こちらも6〜10歩×左右1〜3setを目安に、まずは7歩で20mまで距離を伸ばすことを目標にしてみましょう。
終わりに・大森のトレーニング2024年9月14日から9月15日
今回は「太ももの振り戻し角度」「接地時間」「膝の折り畳み角度」について、それぞれの要素がどのように走りやすさに寄与するのか、そしてそのためにどのようなドリルを行うべきかをお話ししました。これらのドリルを定期的に行うことで、走りが楽になり、パフォーマンスも向上します。個人的には準備運動のようなサブ的な考え方ではなく、これも「メイントレーニング」といった意識で、先ほど述べた回数とset数を実施しなくては恩恵を得にくいと実感しています。ちなみに洛南高校さんもこういったドリルを実施しています(↓)三浦龍司選手や佐藤圭太選手などもこういったトレーニングをこなしてきたからこそあれだけのはフォーマンスを発揮できるのでしょうね。
以下、大森の2024年9月14日から15日のトレーニング内容です。
14日;アフロサーキット
①3.5km芝jog
・143bpm(平均HR)
・157spm(ピッチ)
②約50mダッシュ×5本(緩やかな登り)
③レジスタンス&プライオ
1set目:フルスクワット50kg×5回+ダンベルチェストプレス片方9.5kg×10回+片脚腸腰筋スローイング(メディシン4kg+ウェイトベスト10kg)×5回→懸垂2回→膝立ちグッドモーニング(ウェイトベスト10kg)×5回※アシストバンド付き+直角エルボーレイズ左右計9.5kg×10回+ ドロップハードルタックジャンプ68cm2台×5回+直角エルボーエクステンド9.5kg×10回
2set目: フルスクワット50kg×5回+ダンベルチェストプレス片方9.5kg×10回+片脚腸腰筋スローイング(メディシン4kg+ウェイトベスト10kg)×5回→懸垂2回→膝立ちグッドモーニング(ウェイトベスト10kg)×5回※アシストバンド付き+直角エルボーレイズ左右計9.5kg×10回+ ドロップハードルタックジャンプ68cm2台×5回+直角エルボーエクステンド9.5kg×10回
コメント:湘南国際まで本格的に筋トレに取り組む。一応10月の大井川まではレース週以外週2回入れる。大井川以降はレジスタンスパートを1setとし、2set目の変わりに低酸素HITTを入れる。今日やって気づいたことはスクワットやランジをやった直後身体が軽く感じるものの、実際の走りとなると種目の特性上股関節の伸展が出ない。動画を見て気付いたが、体感的にもクアドに入り過ぎ、長く走れなそうな感覚があった。そのため片脚腸腰筋スローイングを実施。腰が入る感覚が掴めるた。(メディシン0kg+ウェイトベスト0kg)としているが、実際には錘を持っていた。次回からメディシン4kgから段階的にウェイトベストも使って負荷を上げる。
15日;芝200×8×3set rest前半25秒後半30秒 set間8分
タイム()内restと心拍数
①37.09(25秒rest136)38.47(159)37.95(169)37.45(30秒rest174)31.92(180)32.98(178)32.99(185)33.47
set間(8分 137)
②35.84(25秒rest159)37.51(177)37.12(183)36.71(30秒rest 182)32.60(185)33.57(188)33.90(194)34.81
set間(8分 143)
③35.89(148)37.24(176)36.88(183)37.00(30秒rest184)33.86(186)34.16(186)35.25(185)33.09
コメント:早くも筋トレ効果が出てきたか、アップから一歩で瞬発的に弾む走り方ができる感覚。200のインターバルは後半ペースチェンジ式。前半でリラックスした動きを作りながら心拍数を上げ、後半で1500-3000mを意識したペースにビルドアップする練習。レペティションの準備としては良い練習。質的には今シーズンで一番タイムは良い。セット数ごとに平均してタイムは落ちているが、それだけ追い込めている証拠。前に中学生に走ってもらってターゲットができることで、より乳酸を発生させるレベルまで追い込める。ただ、客観的に見えてない部分だが乳酸の放出量が増えると「腰が引けていた」気がする。その際に、やはり足が棒になって降り出されるような感覚になっていた。これからも腰の入りをアスロサーキットで丁寧に意識しながらウェイトトレーニングしていく。
今後もランニングに役立つ情報をお届けします。年内に今回ご紹介したドリルの実技イベントも考えていますので、ぜひ公式LINEの友達追加して連絡お待ちください。皆さんと次回の投稿でお会いできること楽しみにしています。ご閲覧ありがとうございました!