マラソン筋トレ不要論を覆す「アフロ筋トレ宣言」

皆さこんにちは。私は今日、マラソン筋トレ不要論を覆すために、ランナーである自分自身が本気で筋トレに挑戦するといった宣言をしたいと思います。

目次

はじめに

マラソンランナーが筋トレをすることで走力向上につながるか?この記事の内容を結論からお話しますと「ランニングエコノミー」を上げ「前に進みやすい身体」を作るため、筋トレはマラソンランナーの走力向上につながります。

マラソンと筋トレの関係について議論する前に、まずは両者の定義を明確にしましょう。マラソンは長距離走であり、主に心肺機能を鍛えるための運動です。一方、筋トレは主に筋力を向上させるためのトレーニングです。

マラソン筋トレ不要論の方々が主張する内容は、マラソンを行うことで十分に筋力を鍛えることができるため、筋トレは必要ないというものです。あるいは錘になってしまうとか。しかし、私はこの主張には異議を唱えます。下半身の「筋力」と上半身の「筋量」は大事だと思うのです。それでは詳しくみていきましょう。

筋トレをやった方が良い理由 その1. ランニングエコノミーが向上するから

まず第一に、マラソンによって鍛えられるのは主に心肺機能です。確かにマラソンを行うことで脚力や持久力が向上することはありますが、筋力はあまり鍛えられません。無駄な酸素消費に繋がるから筋肉はつけないべき。といった指導者の方もいらっしゃるかと思います。私も下肢に関しては筋肉「量」を増やすことには否定的です。対して「筋力」は増やすべきかと考えています。「ちょっと何言ってるかわからない」という人もいますよね。

ランニングエコノミー(RE)

みなさんはランニングエコノミー(RE)という言葉をご存知でしょうか?これは、走るときにどれだけ効率よくエネルギーを使っているかということです。例えば、同じ距離を走るときに、少ないエネルギーで速く走れる人はランニングエコノミーが良いと言えます。

ある海外の研究で8週間にわたって十分な経験を積んだランナーを対象に高重量の筋力トレーニングを実施しました。その結果、最大酸素摂取量レベルの運動が72秒延長したと報告されました。ここで面白い点は、いわゆる長距離選手の走力指標でもある「最大酸素摂取量」そのものや「乳酸作業閾値」といった値には全く変化が見られなかったと言うことです。筋力の向上によって接地中に要求される相対的な力(%max)が減少し同じ力発揮に対する代謝要求が減少したと考えられています。つまりランニングエコノミーが改善したから高い酸素要求レベルの運動をより長く継続できる様になったと言うわけです。

また、この研究では、筋力の向上によってパワーと力の立ち上がり速度「RFD (Rate of Force Development、力発揮速度)」が上昇したことも要因だと述べられています。

RFDとは

RFDとは、筋肉がどれだけ速く力を発揮できるかを示す指標です。 RFDが向上すると言うことは、ある大きさの力を発揮するのにかかる時間を短縮できるということでもあるので接地時間の短縮につながります。

また、これはある一定の時間に発揮できる「力の総量が向上する」とも言い換えられます。例えば1分間に360m進む選手がRFDを上げることで同じ1分間でも390m進める様になるといったイメージです。

さらにRFDが高いと言うことは必要な分だけの力を発揮し終えたら、あとは力を入れなくていいので、筋肉の弛緩時間は逆に延長します。弛緩する時間が長いと酸素を含んだ血液が流れこみ、疲労物質が蓄積しづらくなるので、より長く運動できます。

「接地時間の短縮」・「単位時間あたりの力の総量向上」・「弛緩時間延長による運動時間の延長」といった3つの点でRFDを向上させることは長距離選手の走力を決定づける因子となり得ます。そしてそのRFDも筋力の向上に伴って向上すると言われています。

下肢筋力の付け方は?

では「筋肉量を増やさずに、筋力をつける」方法についてです。物理的に行って筋肉をつけすぎたらその分身体を運ぶのに余計なエネルギー(=酸素)の消費につながります。長距離選手にとってそこは避けたいところです。そのためのポイントは「高強度・低回数」です。この図をご覧ください。

これはRM法という表です。「1RM」というのはその人の1回持ち上げるのが限界である重量のことを言います。例えば75kgで10回までバーベルスクワットができるのであれば、75kgはその人にとって10RMといった様に表されます。この表に基づくと筋肉を大きく太くする(筋肥大)ことを目的とするのであれば6から12RMの重さ(負荷)。最大筋力を上げることを目的とするのであれば1〜5RMの重さで実施すると良いということになります。筋量は増やさずに筋力を増やしたいマラソンランナーならスクワットなどは1〜5RMの重さで低回数実施すべきでしょう。

 最大重量の90%以上で5回といった考え方。これは大迫傑選手が以前所属していたチーム「オレゴンプロジェクト(モハメドファラー選手やゲーレンラップ選手といった10000mロンドンオリンピック金メダル・銀メダルの選手所属)」でも同様の方針のようでした。コーチのアルベルト・サラザール氏は「次の段階に走力レベルを上げるためには筋力が重要だ」と言った考えだった様です。筋肉増強剤の使用疑惑がありましたが、それだけ筋力が欲しかったと言い換えることもできるでしょう。

筋トレをやった方が良い理由 その2. 上半身の質量重心を高くすることで前に進みやすくなる

第二に、上半身の筋量を増やせば質量重心を高くできるといった視点です。質量重心は、物体の質量が集中した点であり「重い部分に近い」ということが一般的です。そして質量重心が高い方が前に進みやすく、その理由は、主に以下の物理的な原理によるものです。

①モーメントの生成

   質量重心が高い位置にあると、重心が動くときに生じるモーメント(回転力)が大きくなります。例えば、自転車に乗っているとき、ライダーが立ち上がるとバランスを取りやすくなります。これにより、前進するための力の調整が容易になります。

②慣性モーメントの変化

   車や自転車などの移動する物体では、質量重心が高いと慣性モーメントが変わり、回転運動に対する抵抗が減少します。これにより、方向転換や加速がスムーズに行えるようになります。

③安定性の調整

   質量重心が高いと、前後方向の傾きが大きくなるため、動き始めるときに前に倒れやすくなります。これにより、動き出すための初期の推進力が得やすくなります。例えば、ランナーがスタートダッシュを切るときに、体を前に傾けることで前進方向への力を効率的に使うことができます。

④動的バランスの向上

   特に動的な状況では、質量重心が高いことが前後のバランスを取りやすくするため、前に進む力を効率的に使うことができます。これにより、走行中の安定性が向上し、前進を続けやすくなります。

これらの要素が組み合わさることで、質量重心が高い方が「前に進みやすく」なります。

マラソンは主に下半身の筋肉を使いますが、上半身の筋肉を十分に鍛えることはできません。意識して上半身の筋トレを行わない場合、質量重心の高い前に進むことに特化した身体を得ることは難しくなります。エチオピアの有名な長距離選手「ハイレ・ゲブレシラシエ」選手や「ケネニサ・ベケレ」選手を見るとかなり上半身の筋ボリュームがあると感じます。両者に関わらず速い選手は共通して上半身のボリュームがあります。ここは下半身と違ってRM法で言う「筋量アップ」6〜12回を目指したいところです。

まとめ・大森の直近トレーニング

以上の理由から、私はマラソンには走るだけではなく、筋トレも重要だと主張します。マラソンは心肺機能を鍛えるための優れた運動ですが、筋力を向上させるためには筋トレが必要です。また、バランスの取れた身体を得るためにも筋トレは欠かせません。

12月の湘南国際マラソンまで私自身がマラソンと筋トレの両方を取り入れたトレーニングプログラムに挑戦し、記録との相関についてこのブログで皆さんとシェアしていきます。途中11月あたりからは「酸素借(さんそしゃく)」低酸素を使ったHITTなどの配分を増やしていくつもりですがそのあたりの内容も記事にしますね。(※低酸素トレーニングと酸素借についてはこちら↓)

最後にこちらは2024年9月3日〜9月6日のトレーニング日誌です

9月3日;アフロサーキット 

1kmトレッドミルjog12km/h→ワイドスクワット40kg×5回+ストレッチポールダンベルチェストプレス片方8kg×10回+懸垂2回+ドロップハードルタックジャンプcm2台×5回→ 1kmトレッドミルjog12km/h→ ワイドスクワット40kg×5回+ストレッチポールダンベルチェストプレス片方8kg×10回+懸垂2回+ドロップハードルタックジャンプcm 2台×5回→1kmトレッドミルjog12km/h→ ワイドスクワット40kg×5回+ストレッチポールダンベルチェストプレス片方8kg×10回+懸垂2回+ドロップハードルタックジャンプcm2台×5回→OBLAペース(18.5km/h)モーションメディックス※走動作解析

9月4日;山中湖27.01km
平均ペース(/km);4:14
平均心拍数(/分);172
平均ピッチ(spm):169

コメント;標高1000mとは言えお昼前後のトレーニングでもあって日差しがあるところは暑かった。ただ、湿度はだいぶ下がってくれていたので不快感は少ない。心拍数はラスト7km、190拍を超えていた。体重を乗せる意識が良いと思っていたがあまりそこにこだわるとリズムは悪い。胸椎伸展を促すが、腰椎の反りは抑えて走る。イメージとして中足骨、お尻、胸椎に同時にポンっと乗せる感じにしたら走りが安定した。特に右腕の使い方を内方に向かうように意識したら第四中足骨あたりも荷重できて満遍なく荷重でき、後脛骨筋腱の痛みは無かった。

9月5日;8.28km+60mダッシュ×5本
平均ペース(/km);5:49
平均心拍数(/分);135
平均ピッチ(spm):155

コメント;右足後脛骨筋腱の痛みはあったが、走っている内に痛みは治った。ただ脚はかなり重い。暑さはあったが、湿気は少し引いてきた気がする。朝晩はいくらか涼しい。終了後のダッシュは坂でなく平地。心肺機能の強化ではなく、あくまで神経回路の賦活化を狙っているためレストは息がしっかり整ってからやるべきだと考えている。そのため間はウォーク。

9月6日;1.6km×3 水ヶ塚ウッドチップ392mコース(アップダウンあり)

10kmペースからハーフマラソンペース rest5分

タイム:392mごと()内は心拍数
①80.9(131)79.03(169)77.43(176)77.45(180)※191spm
restjog(5:01 ・131)

②77.19(138)78.77(180)78.46(184)77.12(186)※191spm
restjog(5:02 .134)

③78.10(149)77.27(181)77.62(185)77.30(185)※191spm

コメント:初めて水ヶ塚でインターバルをやってみた。主観的には最初の数本酸素が周らず脚が重かったが、酸素が周り出してからは呼吸がきつく脚はそれほどキツくない感覚だった。ヴェイパーで実施したがタータンのサーフェイスと違い踏みしめないと恩恵を得られない感覚があった。逆にそういった動きが身につくのか動き自体は全身が普段より使えている感覚があった。9月から10月初めは積極的にこのコースを使って距離走やインターバルをやっていく。

終わりに

「アフロ・ランニング&ボディーメイク」では「ランニングエコノミーの向上・進むことに特化した身体作り」もサポートしております。理学療法士の私たちだからできる、ランナーのみなさんにあったカスタマイズをご体験ください。まずは公式LINEに友達追加していただいてご質問からだけでも大丈夫です。

 今後もランニングに役立つ情報や楽しいコンテンツをお届けします。また次回の記事でお会いしましょう。ご閲覧ありがとうございました。

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