低酸素トレーニングの新たな可能性〜増血に頼らない?酸素借?一家に一台⁉︎〜

こんにちは、理学療法士ランナーの大森です!今日は、低酸素トレーニングとその最新トレンドについて主に「酸素借(さんそしゃく)」といった能力改善の視点でお話しします。最近ではかなり低酸素トレーニング施設を併用したジムが増加してきました。箱根駅伝の強豪校や実業団駅伝の優勝チームでも取り入れるようになってきましたね。

https://youtu.be/I8F4BflTalw?si=BSyy9cfXbJFq7vjI

しかし低酸素トレーニングといってもずっとその環境に居ないと意味がないのでは?とか、具体的なトレーニング内容や効果が曖昧と感じ、近隣のジムに低酸素環境を作れる施設があっても利用しない方も多いのでは無いでしょうか?

これまで、低酸素トレーニングといえば、主にヘモグロビンの増加を目的としたものでした。ヘモグロビンとは、血液中の赤血球に存在するタンパク質で、酸素を体内に輸送する役割を果たしています。陸上中長距離選手にとって、効率的な酸素輸送はパフォーマンスに直結する重要な要素です。しかし今回取り上げる低酸素トレーニングの効果は「酸素借」、いわゆる無酸素トレーニングに対する効率といった点に着目してお話ししていきます。日本国内でトレーニングするランナーの皆さんが、低酸素トレーニングを行う際、むしろこちらの効果を求めた方が現実的ではないかと、私は考えています。

目次

低酸素トレーニングの「これまで」と「これから」

まずは、これまでの考え方で低酸素トレーニングがどのように働くのかを簡単に説明します。低酸素環境でトレーニングを行うと、体は酸素不足に適応しようとします。この過程で、赤血球の数が増え、ヘモグロビン量が増加します。これにより、通常の酸素濃度でも効率的に酸素を運ぶ力が強化され、持久力の向上が期待されます。

しかし、最近の研究やトレーニング方法では、「酸素借」にも注目が集まっています酸素借とは、運動中に体が必要とする酸素量と実際に供給される酸素量の差です。酸素借が大きいほど、レース中の苦しい段階でラストスパートが効くと同時に、レペティショントレーニングのレベルが向上します。レペティトレーニングは中長距離ランナーには切っても切り離せないミトコンドリアを増やす効果があるといったお話を以前の動画で取り上げました。まだご覧になっていない方は是非以下の動画もご確認ください!

また酸素借が大きいほど運動後に心肺機能の回復や脂肪燃焼の効率が高まると言われていますので減量やダイエットにも効果的です。

低酸素トレーニングは、この酸素借を意図的に増大させることで、運動後の回復やエネルギー消費を促進する可能性があります。これにより、持久力の向上だけでなく、スポーツパフォーマンス全般の改善や体脂肪の減少にも寄与することが期待されています。

「30〜60秒」に違い⁉︎

高地などの低酸素環境下では最大酸素摂取量や乳酸作業閾値が低下し、持久的運動パフォーマンスも低下します。

ある研究で15秒から3分程度で疲労困憊になる速度で平地の環境と低酸素の環境でどういう違いがあるか調べた事例があります

まずその強度で30秒を超えると平地の環境より低酸素環境の方が「酸素が十分体内に取り込めなくなる」、すなわち「無酸素運動」になることがわかりました。

さらに「走速度」を比較すると75秒を超えるた場合、明らかに平地の環境よりも低酸素環境の方が速度は落ちますが、60秒までならどちらの速度も変わらなかったと言うことがわかりました。

これらの結果を整理すると、30秒から60秒までの同じ全力運動なら「低酸素条件の方が無酸素エネルギーの割合を高められる」と言うことです。

参考)Weyand PG,Lee CS,Martines-Ruiz R,et al;High-speed running performance is largely unaffected by hypoxic reductions in anaerobic power.J Appl Physiol 1990;60:155-61

低酸素が最大酸素借に与える効果

「最大酸素借」を向上させるには1回のトレーニングセッションでいかに多くの無酸素エネルギーを動員できるかが鍵となります。前述したように同じ全力運動なら「低酸素条件の方が無酸素エネルギーの割合を高められる」ことから、低酸素トレーニングの方が「無酸素性エネルギー改善に適している」といえます。具体的な方法と効果に関してはこれも研究例でお話しします。

ある期間週、低酸素室にて短時間高強度の運動、すなわち無酸素トレーニングを週3回行いました。これは通常のトレーニングも併用しながら「補強トレーニング」の位置付けで行うといったものです。また、このトレーニング以外は通常の環境、すなわち皆さんがお住まいのような標高で過ごしました。

するとトレーニング期間前後における1分間に取り込める酸素の最大量、「最大酸素摂取量」には差が見られませんでしたが、同じ運動強度における呼吸の余裕度を示す「換気量」や、運動効率を示す「酸素摂取量」、また疲労度合いを示す「心拍数」「血中乳酸濃度」全てにおいて改善しました。このように週に2〜3回短時間高強度トレーニングを入れるトレーニング形式を文献では「ワンポイント型トレーニング」と呼んでいます。

また選手全員が「苦しいところで頑張りがきく」と発言していたようです。

参考)低酸素室を利用したトレーニングー競技力向上ー山本正嘉 体育の科学Vol.62 No.9 2012 p.711~715

お勧めの方法「タバタ式とHITT」

まず標高の設定ですが、従来の高所に出向いてヘモグロビンの増加を狙うトレーニングは標高2300m程度が適しているとされていましたが、これからのトレーニング、特に今回お話しした方法ですと標高1800m〜2000mであれば良いとされています。勿論それ以上でも構いませんし、初期効果は標高1000m程度でも得られるとされています。

具体的な無酸素トレーニングの種類としてはタバタ式とHIIT(高強度インターバルトレーニング)がお勧め。どちらも最近では効率的なトレーニング方法として知られています。

タバタ式トレーニング

タバタ式は、日本のスポーツ科学者である田畑泉氏(Izumi Tabata)によって開発されたトレーニング方法です。このメソッドは、20秒間の高強度運動と10秒間の休息を1セットとし、これを8セット、合計4分間行うプログラムです。タバタ式トレーニングは、短時間で心肺機能を向上させ、脂肪を燃焼させることができます。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)

HIITは、短時間で高強度の運動と低強度または休息の期間を交互に行うトレーニング方法です。具体的な時間配分や種目は多様で、タバタ式もHIITの一種と考えられることがあります。HIITは、心肺機能の向上、筋力の増加、脂肪燃焼の効率を高めることができ、トレーニング時間を短縮できるのが特徴です。

どちらの方法でも構わないと思いますが、前述した研究「30秒から60秒までの同じ全力運動なら低酸素条件の方が無酸素エネルギーの割合を高められる」と言う結果から、30秒以上60秒未満、例えば40秒全力、80秒から120秒休憩を3本などのトレーニングが良いと考えます。またトレッドミルを使って走るのでも良いですが、たいていのトレッドミルは最高時速が限られていること。また傾斜をつけることで強度を変えられますが、少し手間がかかります。シンプルに全力を出すのであればエアロバイクやパワーマックスといった据え置き型自転車を使用することをお勧めします。ただトレッドミルも自走式と言って自分の力で速度を調整できるものも増えてきているので、それを利用して全力疾走することもアリかもしれません。ただしどの方法を取るにしても高強度トレーニングであるため、運動後に失神を起こすこともあります。そのため初心者さんは特に、専門家の指導のもとで行うことが推奨されます

こうした新しい視点から、低酸素トレーニングはますます注目されるようになっています。スポーツ科学の進化により、私たちはより効果的なトレーニング方法を見つけることができるのです。

シエラ100で変わる低酸素トレーニングの未来

低酸素トレーニングを自宅、もしくは施設で取り入れてみたいといった方に情報です。特に、手軽に低酸素環境を作れる「シエラ100」についてご紹介します。正直ゴリゴリの案件ですが、情報として知っていただくだけでも皆さんに損はないので聞いてください。

シエラ100の紹介

– 最近では「シエラ100」という低酸素発生装置が登場し、これまで大学施設や低酸素ジムなど特別な場所でしか行えなかったトレーニングを、個人でも自宅で行えるようになりました

–シエラ100は、中古の軽自動車くらいの価格で購入可能で、手軽に家庭で低酸素環境を作り出すことができます。

個人利用のメリット

個人での利用が可能になったことで、アスリートだけでなく、一般のフィットネス愛好者も低酸素トレーニングの恩恵を受けることができます。自宅でのトレーニングは、時間や場所に縛られることなく、効率的に行えるため、忙しいスケジュールの中でも継続しやすくなります

シエラ100によって、低酸素トレーニングがさらに身近なものとなりました。これからは、プロのアスリートだけでなく、一般の人々もその効果を実感し、スポーツやフィットネスの新たな可能性を追求できます。ご興味のある方は以下のリンク先をご確認の上、ご連絡下さい。メーカーさんの価格より10万円以上お安くご提供します。

https://afro-running.jp/「低酸素環境」販売サービス/

終わりに 

冒頭でお話ししましたように今や低酸素トレーニング施設を箱根駅伝の強豪校や、実業団駅伝優勝チーム等でも導入する時代になってます。自分も実は30代前半、独学で練習していたのですが、この低酸素トレーニングの方法に興味を持ち、当時130万円くらいする低酸素キッド「エベレストサミットⅡ」という機器を購入し、無酸素トレーニングを取り入れました。大学を含めた学生時代「1500mの記録が4分29秒程度」でしたが、これを取り入れて約2年で「3分59秒」まで伸ばすことができました。勿論トレーニングの内容も変えましたが、走行距離はむしろ減っていました。今はこれらの低酸素キッドを半額以下の値段で手に入れられる、いい時代になってきたなと感じています。値段にして中古軽自動車くらいの価格でしょうか?そして近い将来、ランニングを生涯スポーツとして取り組むランナーに、低酸素環境を自宅に取り入れる方が増えてくると考えます。また「故障の期間中」であっても、これら低酸素環境による無酸素トレーニングをエアロバイク等と併用することで、効果的にトレーニングできます。私も故障期間中はこの方法で走れないストレスを溜めないようにしていました。

いかがだったでしょうか?今日は低酸素トレーニングと酸素借の関係についてお話ししましたが、皆さんもぜひこの新たなトレーニング方法を試してみてはいかがでしょうか?購入までいかなくても低酸素ジムの利用の仕方も工夫できるかと思います。「無酸素トレーニング」の時期だけとか「故障期間中だけ」とか限定するのも良いかと思います

それではまた次回の記事でお会いしましょう!ご閲覧ありがとうございました!

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