800mや1500mってきついですよね。僕もトラックレースの中で一番きついと思ってます。走り終わるとお尻が割れそうになったり、呼吸困難で倒れたり。。。ちなみに個人的には「きついのが800」で「苦しいのが5000」だと思ってます。800mから1500mのように2〜4分くらいで全力を出し切る「きつい走り」の強度で走るトレーニングが「レペティショントレーニング」です。レペティショントレーニングの効果や注意点について私の考えを結論から述べると
①ミトコンドリアのエネルギー生成速度養成
②速筋繊維(そっきんせんい)から乳酸を放出する酵素(MCT4)の養成
③乳酸と同時発生する疲労物質に耐えらる脚作り(乳酸緩衝力の改善)
④速いペースに対してエネルギー消費を少なくする(ランニングエコノミーの改善)
⑤お勧めは「目標1500mペースから最近の1500mペースで90〜100秒の疾走を、8分程度のレストを摂って3〜4本繰り返す」といった練習
⑥レペティションを入れる時期であっても「距離走」をおろそかにしない
といったところです。それではこれから詳しくお話ししますね。
<レペティションの効果・練習の実際>
レペティショントレーニングを行って得られる効果の一つは「高速でミトコンドリアがエネルギーを生産する力」です。ミトコンドリア。。。理科や生物で習ったあれです。高校ではATPの計算とかってやりますよね。酸素を使ってエネルギーを作り出す体内の器官です。このミトコンドリアのエネルギーを作る力が「ほぼ全力ペースで20秒から2分くらい走る運動」で養われる様です。僕はこのトレーニングをよく600m×4本(94から98秒・rest8分)なんかでやっています。このくらいでいけたら「1500mを4分03秒から4分10秒くらい」で走れる感覚はあります。最近YouTubeなんかで「HIITトレーニング」「タバタ式トレーニング」なんかの呼び方で紹介されてますが、あれもほぼ同様の効果を狙っていると思います。ミトコンドリアをこのように刺激するのはダイエットの効果もある様ですね。短時間でできるからコスパは良いと思います。あとタバタ式はレストが短いですが、基本、次も全力が出せると感じるまで休んでいいとされています。
また、このようなトレーニングを行うことで「MTC4」といった速筋繊維(そっきんせんい)から乳酸を放出する酵素を養うことができる様です。速筋繊維とは速く、また強く力を発揮するときに使われる筋繊維のことです。逆に比較的ゆっくりだけど長く力を発揮し続けられる筋繊維を遅筋繊維(ちきんせんい)と言います。ちなみにこのMTC4で放出された乳酸を取り込む酵素もあって、それをMCT1という様です。主に閾値走(いきちそう;ペース走やビルドアップ・テンポ走やクルーズインターバル)で養われます。こう言った研究を東大の八田先生といった方が進めています。八田先生の本リンク先、貼っておきますね↓
また最近の研究では、乳酸はそれ自体が疲労物質ではないとされます。乳酸と同時に発生するリン酸という物質が、カルシウムイオンと結びつくことで筋収縮を阻害し、そのことが疲労としてペースダウンを余儀なくするとされています。しかしレペティショントレーニングをすることでその筋収縮の阻害を和らげ、若干長く運動できるようになります。その力のことを乳酸緩衝力(にゅうさんかんしょうりょく)といったりします。
もう一つはジャック・ダニエルズ氏が言っている「ランニングエコノミーの改善」。ランニングエコノミーとは、速く走るための動きを養う、またその動きを表現するのに労力が無くなるといったら良いでしょうか。当たり前ですが速く走れば速く走りやすくなるということです。ジャック・ダニエルズ氏の本リンク先も貼っておきますね↓
レペティショントレーニングのお勧め練習は「目標1500mペースから最近の1500mペースで90〜100秒の疾走を、8分程度のレストを摂って3〜4本繰り返す」といった内容です。確実に身体の反応を実感できると思います。
走力ごとのレペティション設定タイムは以下のアプリをダウンロードして計算してみてください↓
APP
https://apps.apple.com/jp/app/vdot-running-calculator/id973571014
Google ストア
<レペティションに傾く注意点>
私はインターバルトレーニングまでが有酸素トレーニングで、レペティショントレーニングからが無酸素トレーニングだと思っています。レペティションは比較的練習効果がすぐ現れます。ただアーサー・リディアード氏はこの無酸素トレーニングは必要だが、ベースとして有酸素能力が築けていないと意味がないと言っています。アーサー・リディアード氏の本リンク先はこちら↓
もう何年も前に提唱された理論ですが、核心ついていると思います。欧米の選手も一昔前、レペティションにこだわりすぎて一時的な走力は上がっても、シーズン全体としては結果が出せない時代が合ったようです。近年ではアメリカのゲーレン・ラップ選手やグラント・フィッシャー選手、ノルウェーのヤコブ・インゲブリクトセン選手の様に「距離走」をしながらレペティションを積極的に取り組むことで、東アフリカ勢と対等に渡り合えるようになりました。レペティションを入れることで確実に変化が起こせることは事実です。要はポイント練習の全てを「無酸素運動だけに全振りしない」と言うことです。
レペティションの効果や注意点をまとめると
①ミトコンドリアのエネルギー生成速度養成
②速筋繊維から乳酸を放出する酵素(MCT4)の養成
③乳酸と同時発生する疲労物質に耐えらる脚作り(乳酸緩衝力の養成)
④速いペースに対してエネルギー消費を少なくする(ランニングエコノミーの改善)
⑤お勧めは「目標1500mペースから最近の1500mペースで90〜100秒の疾走を、8分程度のレストを摂って3〜4本繰り返す」といった練習
⑥レペティションを入れる時期であっても「距離走」をおろそかにしない
といったところでしょうか?みなさんにとってのレペティショントレーニングの位置付けどのように考えますか?ここまで読んでいただきありがとうございました!またよろしくお願いします。