腹横筋って聞いたことありますか?これ、お腹の筋肉の一部なんですけど、上部・中部・下部でそれぞれ違う役割があるんです!あと、多裂筋、下後鋸筋っていう筋肉も実は呼吸とかコアにめちゃくちゃ関わっていてランナーこそ使い方をマスターすべきなんです。体幹トレーニング。みなさんも耳にしてやっている方もいると思います。でも固定とか安定とか固める意識が強いとかえって逆効果!今回の動画を見てもらうことでなぜそもそもランニングに体幹トレーニングが必要で、どこを意識すれば良いのかわかるので、エクササイズに対するモチベーションも変わりますよ!動画はこちら↓
こんにちは、理学療法士ランナーの大森です!今回は「疲れ知らずのランナーに!理学療法士が教える呼吸とコア」というテーマでお話しします。参考にする内容は、広島国際大学の蒲田教授が提唱するリアラインの考え方をベースに、腹横筋の上部・中部・下部の異なる作用、そして多裂筋、下後鋸筋が呼吸やコアにどう関わるかを詳しく見ていきます。
呼吸やコアの話をより理解するために蒲田教授が提唱するマルアライメントとリアラインの考え方を基に、理想的な姿勢についてお話しします。姿勢の改善は、呼吸やコアを中心とした改善にもつながるため、パフォーマンス向上において非常に重要です。
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マルアライメントとは
まず、マルアライメントについて説明します。マルアライメントとは、体の各部分が正しい位置からずれている状態を指します。例えば、肩が前に出ている、腰が反っているなどの状態がこれに該当します。このようなずれは、筋肉や関節に余計な負担をかけ、痛みや怪我の原因となります。
リアラインの重要性
次に、リアラインについてです。リアラインとは、体の各部分を正しい位置に戻すことを意味します。蒲田教授は、このリアラインが健康維持とパフォーマンス向上の鍵であると強調しています。正しい姿勢を保つことで、筋肉や関節の負担を減らし、効率的な動きを可能にします。
理想的な姿勢とは
では、理想的な姿勢とは具体的にどのようなものなのでしょうか。蒲田教授の考え方を基に、以下のポイントを押さえてみましょう。
1. **頭の位置**: 頭は肩の真上に位置し、あごを引くようにします。
2. **肩の位置**: 肩はリラックスさせ、耳の下に位置するようにします。
3. **背骨のカーブ**: 背骨は自然なS字カーブを描くようにします。特に腰椎の前弯(前に反ったカーブ)と胸椎の後弯(後ろに丸まったカーブ)ですが、これが過剰にならないようにします。
4. **骨盤の位置**: 骨盤は中立の位置に保ちます。前傾や後傾になりすぎないように注意します。30°くらいの前傾が理想とされます。
5. **膝と足の位置**: 膝は軽く曲げ、足は肩幅に開き、重心を均等に保ちます。
腹横筋・多裂筋・下後鋸筋のリアラインで呼吸とコアを改善
まずは腹横筋についてお話ししましょう。腹横筋はお腹の深い部分にある大事な筋肉です。この筋肉はお腹の周りをぐるっと巻くように位置していて、まるでコルセットのように体幹を支えています。腹横筋は上部、中部、下部に分けることができますが、それぞれが少しずつ異なる役割を持っています。
腹横筋の上部・中部・下部の作用
– **上部の腹横筋**は、特に胸郭を安定させ、呼吸を助ける役割があります。ただ上部の筋肉はあまり緊張させないことが大事!これにより深くて効率的な呼吸ができるようになります。
– **中部の腹横筋**は、体幹を固定し、姿勢を安定させる重要な役割を果たします。ランニング中にブレずに走るためには、この部分の筋肉が働くことも大切です。
– **下部の腹横筋**は、骨盤を安定させる役割があります。走るときに骨盤が安定していると、無駄な動きが減り、エネルギーを効率的に使うことができます。そしてこの下部腹横筋こそしっかり意識して強化したい部位となります。
このように腹横筋は脊柱運動の安定化と呼吸運動の2つの役割を担います。乳酸作業閾値以下の持久的運動など呼吸の乱れない負荷強度であれば腹横筋が2つの役割を果たすことはできます。しかし、強度が上昇すると腹横筋は呼吸を優先せざるを得なくなり、その結果コアスタビリティが疎かになってしまう場合があります。例えばレースの後半で顎が上がり腰が反る。また脚が流れるといった動きがそれです。このように中長距離マラソンを走っている際のコアスタビリティ低下に対して、いわゆる腹筋や背筋トレーニングは勿論、ブリッジやプランクをやっても実はパフォーマンス向上にそれほどつながりません!なぜならこれらの運動は、どのように体幹の筋に負荷を与えたとしてもコアスタビリティと呼吸運動の両立ができていないので、先ほどお話ししたようなパフォーマンス上の問題は解決に向かわないためです。それではどのようにして体幹、とくに腹横筋を使えるようにしたら良いのでしょう?
トレーニング方法 エアーレッグプレス
そのためのエクササイズがエアーレッグプレスです
目的;腹横筋下部を主体とする骨盤・腰椎の安定化に必要な筋活動パターンを学習します
肢位;仰向けで膝を立てた状態をとります
方法;両手を腰椎(腰骨)の下に入れ、股関節を110°程度まで屈曲・膝をお腹の方向に水平に近づけます。この股関節屈曲動作に伴って腰骨で両手が圧迫されることを感じ取ります。次にその両手への圧を減少させないように、むしろお臍より下には力を入れ続けながら、両下肢を水平方向に伸ばしていきます。腰が反って両手への圧がわずかでも減ってしまったら伸ばすことは辞めて元の位置に戻します。この際呼吸は絶対に止めてはいけません!またここが難しいポイントなのですが肋骨(あばらぼね)の下あたりの腹筋は完全には緊張させないでください!指で押して凹む状態が理想です。
多裂筋の役割
多裂筋は背骨の両側にある小さな筋肉で、背骨を安定させる役割があります。胸椎(背骨)の行き過ぎた後弯を防ぎます。後弯というのは簡単に言ってしまえば猫背です。多裂筋が強くなると、背骨が安定し、姿勢が良くなります。正しい姿勢を維持することで、ランニングの効率が上がり、疲れにくくなります。
トレーニング方法 四つ這いアームレイズ
目的;腕の力も使って胸椎・背骨を回旋することで対側の多裂筋の活動を促します。
肢位;四つ這いで鳩尾(みぞおち)を地面に近づけるよう最大限に背骨を反ります。
方法;上肢・腕を伸ばした状態で側方に挙げていきます。
下後鋸筋の役割
最後に、下後鋸筋について説明します。下後鋸筋は背中の下部に位置し、肋骨を引き下げる役割があります。この筋肉がしっかり働くことで、呼吸が深くなり、酸素を効果的に取り込むことができます。深い呼吸ができると、長時間のランニングでも疲れにくくなります。吸気、つまり息を吸い込むときに下の方の肋骨はやや後ろに回旋しながら横に広がります。このやや後ろに回旋しながら横に広がる動きをもたらすのが「下後鋸筋」です。
トレーニング方法 四つ這いフロントレイズ
目的;下後鋸筋を鍛えて下位胸郭を後下方に引けるようにする
肢位;四つ這いで鳩尾(みぞおち)を地面に近づけるよう最大限に背骨を反ります。
方法;上肢・腕を前方に挙上し上部腹筋を弛緩・ゆるめて、胸椎・背骨の回旋を意識しながら行います。四つ這いアームレイズは対側の筋の強化でしたが、こちらの四つ這いフロントレイズは同側の筋を強化します。
まとめ
いかがでしたか?今日は、マルアライメントがどんな姿勢で逆に理想的な姿勢とそれを実現するためのリアラインとは何なのか?腹横筋の上部・中部・下部の異なる作用、多裂筋や下後鋸筋が呼吸やコアにどう関わるかについてお話ししました。これらの筋肉を意識してトレーニングすることで、疲れ知らずのランナーになることができます。
これからもランニングに役立つ情報をどんどんお届けします!また、私は静岡県富士市でランニング専門の治療とパーソナルトレーニングを行っています。病院や整体院の治療に加えて、自分の走りを根本から改善したい、もっと楽に走れるようになりたいという方、ぜひご来店ください!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。今日もご閲覧ありがとうございました!